追納とは?
国民年金の保険料について、学生納付特例、納付猶予、保険料免除の承認を受けた期間は、後から保険料を納める「追納」ができます。追納すると、その期間が「保険料納付済期間」として扱われ、老齢基礎年金の額が増えます。
ただし期限があります。承認された月の属する年度の翌年度から10年以内に限られます。10年を過ぎた月は、二度と追納できず、その月は年金額に反映されないまま確定してしまいます。
追納しないと、年金はいくら減るのか
承認を受けた期間は、追納しなくても年金に一部が反映される制度と、まったく反映されない制度があります。
| 期間の種類 | 追納しない場合の反映割合 | 追納で取り戻せる分 |
|---|---|---|
| 学生納付特例・納付猶予 | 0(まったく反映されません) | 全額分(10割) |
| 全額免除 | 1/2 | 残りの1/2 |
| 4分の3免除 | 5/8 | 残りの3/8 |
| 半額免除 | 6/8 | 残りの2/8 |
| 4分の1免除 | 7/8 | 残りの1/8 |
とくに学生納付特例と納付猶予は反映割合がゼロです。追納しなければ、その月は受給資格期間には数えられても、年金額は1円も増えません。若い頃の数十か月が、老後の毎年の年金額を静かに削り続けます。
国民年金保険料の推移(1か月あたり)
| 年度 | 保険料(月額) | 年度 | 保険料(月額) |
|---|---|---|---|
| 2016年度 | 16,260円 | 2022年度 | 16,590円 |
| 2017年度 | 16,490円 | 2023年度 | 16,520円 |
| 2018年度 | 16,340円 | 2024年度 | 16,980円 |
| 2019年度 | 16,410円 | 2025年度 | 17,510円 |
| 2020年度 | 16,540円 | 2026年度 | 17,920円 |
| 2021年度 | 16,610円 |
このシミュレーションでは上記の保険料額を追納単価の目安として使っています。実際の追納額は、承認年度から3年度目以降に追納する場合に、当時の保険料へ追納加算額が加算された、日本年金機構の公表する「追納保険料額」が適用されます(承認の翌年度・翌々年度に追納する場合は加算額なしで、当時の保険料額そのままです)。
元が取れる年齢の考え方
追納は「払った額」と「増える年金額」の損得で考えられます。たとえば学生納付特例の24か月(2024年度12か月+2025年度12か月)を追納すると、追納額は413,880円、年金は毎年42,365円増えます。増えた年金を受け取り続ければ、約9.8年で追納額に届きます。65歳から受給するなら、約74.8歳で元が取れる計算です。それ以降は、増えた分がそのまま生涯のプラスになります。
さらに、追納した保険料は全額が社会保険料控除の対象で、支払った年の所得から差し引けます。所得税と住民税を合わせた税率が20%の方なら、実質負担は追納額の約8割となり、元が取れる時期はさらに早まります。上のフォームに税率を入力すると、この実質負担ベースの損益分岐も表示されます。
次にやること
- 期限を確認する:「ねんきんネット」や最寄りの年金事務所で、追納できる月と締切(承認年度の翌年度から10年)を確認してください。古い月から順に失効します。
- 正確な追納額を確認する:加算額を含んだ正式な追納保険料額は、日本年金機構の公表表と、送付される申込書で確認できます。
- 申し込む:年金事務所または「ねんきんネット」から「国民年金保険料追納申込書」を提出すると、納付書が届きます。
- 年末調整・確定申告を忘れずに:追納した年の社会保険料控除として申告すると、税金が戻ります。
追納の期限を過ぎたらどうなりますか?
その月は二度と追納できません。学生納付特例・納付猶予の期間であれば年金額に永遠に反映されず、免除期間であれば反映割合の分だけが残ります。期限は承認された年度の翌年度から10年です。古い月ほど先に失効するので、追納するなら古い月から順に検討してください。
追納加算額とは何ですか?
承認を受けた年度の翌年度と翌々年度に追納する場合は、当時の保険料額のまま納められます。しかし3年度目以降になると、経過した期間に応じて「追納加算額」が上乗せされます。早く追納するほど安く済む仕組みです。正確な金額は日本年金機構が年度ごとに公表する追納保険料額の表で確認してください。
追納した保険料は税金で戻ってきますか?
追納額の全額が、支払った年の社会保険料控除の対象になります。所得税・住民税の合計税率が20%の方なら、税負担は追納額の約20%分軽くなります。年末調整または確定申告で申告が必要です。このページのフォームに税率を入力すると、実質負担額と損益分岐を表示します。
学生時代の分は全部追納したほうがいいですか?
学生納付特例の期間は追納しないと年金額に一切反映されないため、効果が最も大きいのはこの期間です。ただし損益分岐は平均して受給開始から約10年です。健康状態や他の資産状況も含めて判断し、まずは期限が近い月から検討するのが現実的です。このシミュレーションは判断材料の一つとしてご利用ください。
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